大阪市立中央図書館「大坂冬の陣と大坂城展」の書棚を

大阪市立中央図書館2階「大坂冬の陣と大坂城展」を企画した流田英明さん
大阪市立中央図書館2階「大坂冬の陣と大坂城展」を企画した流田英明さん

 大阪市立中央図書館2階は、歴史や地理などの人文科学や、建築・商業・交通などの産業、政治・経済などの社会科学の本が集められたフロアだ。

1017日、エレベーター前の一等地に「大坂冬の陣と大坂城展」の企画コーナーが設けられ、関連した本が2つの本棚にぎっしりと並べられた。私が訪ねたのは、26日の日曜日。棚はすかすか、20冊程度しか見当たらない。

この企画を任せられたのは同館利用サービス担当の流田英明さん。「ほとんど貸し出され、あまりの人気ぶりに驚いています。大坂の陣への関心がいかに高いか、それが貸し出し率にそのまま表れています」

 

中央図書館が所蔵している本は約200万冊。この企画のために、流田さんは「大坂の陣」「真田幸村」「豊臣秀吉」「大坂城」など関連するキーワードで蔵書を絞り込み、その結果を参考に、これと思う本をさらに厳選。そのあとは、現物を1冊ずつ自分の目で確かめ、最終的に130冊選んだという。

「読みやすいものを第一におき、お子さんから大人まで幅広くカバーしました。コミック・伝記・ビジュアル本あり、評伝・合戦本あり、ジャンルも多彩です」

 

130冊のリストを見せてもらった。さすが地元、大坂の陣に関する本は充実している。タイトルを見ただけで読みたくなる本がいくつも

たとえば「真説大坂の陣(学研M文庫)」「大坂の陣・なるほど人物事典 豊臣vs徳川 主役・脇役たちの意外な素顔(PHP文庫)」「裏から読む大坂の陣 善光寺・豊国社・お江与・甚目寺(ブックショップマイタウン)」「真田幸村のすべて(新人物往来社)」「戦国合戦絵屏風集成 大坂冬の陣図・大坂夏の陣図(中央公論社)」「畿内戦国軍記集(和泉選書)」など。その中には、「真田幸村と大坂の陣 大阪城・上田城友好城郭締結記念」のような特別記念の出版物もある。

 

「大坂の陣は大坂城を取り巻く合戦だと思われがちですが、八尾や堺、岸和田でも合戦がありました。そうした本もご覧いただけます

「大坂の陣と八尾 戦争とその復興(八尾市教育委員会)」「戦乱の中の岸和田城 石山合戦から大阪の陣まで 岸和田城天守閣再建五十周年記念特別展(岸和田市立郷土資料館)」「泉州むかし話 堺編(泉州文芸同好会)」といった本も組み込まれている。

また、新旧さまざまな本がラインアップ。最新本は今年10月発行の「大坂の陣400年天下一祭公式ガイドブック(ぴあMOOK関西)」、一番古い本は1970年発行の桜井成広著「豊臣秀吉の居城 大坂城編(日本城郭資料館出版会)」である。

「古い本の中にも名著がたくさんありますので、日頃、書庫の中で眠っている本や雑誌も引っ張り出してきました。絶版で、もう手に入らないお宝本もあったりします

 

 雑誌「大阪春秋」のバックナンバーも棚に並ぶ。知られざる大阪の歴史と文化を発掘・紹介する地域雑誌である。平成2年(1990)発行の62を何気なく開くと、「『大坂冬の陣図屏風』の模写をやり終えて」の記事が目に入った。読み始めると、その内容のあまりの重さに引き込まれた。

東京国立博物館が所蔵する大坂冬の陣図屏風をもとに、武内勇吉さんが3年がかりで模写をし、それを大阪城に納めるまでの苦労と、制作中の発見や喜びを、ご本人自らが綴られている。

冬の陣図屏風に魅せられ、肉筆模写をしたいと熱望するが、六曲屏風一双の大作。果たして、やり遂げられるか…。試しに描いた絵が大阪城天守閣の学芸員さんたちに好評であったため、一大決心で取り組むこととなった。

武内さんが数えたところ、屏風には人物2402名、馬178頭、鉄砲146丁、槍・薙刀222本が描かれていた。和紙に昔ながらの墨と筆で丹念に再現していく…。あまりの心労からか、体調不良で一時中断、まさに命を削りながらの制作であった。平成2年春、なんとか完成。ほっとしたためか、発病して入院という事態に。その年の10月、天守閣で撮影されたご本人のお写真を見ると、屏風に命のすべてを捧げたとしかいいようのない弱りようだ。そのお姿に、名状しがたい思いがこみあげた。ゆっくり読み直したいと思い、茶色に変色した雑誌を借りて帰った。

余談になるが、2日後、この屏風を見るために大阪城に行った。何度か見ていた屏風であったが、武内さんの苦労を知った今、大阪城の冬の陣図屏風は特別な存在となった。

武内さんはこう書かれている。「人間は何か世のため人のために尽くすために生まれて来たような気がしてなりません」

 

インターネットで検索しても、武内勇吉さんのこの苦労話は出て来ない。スマホは便利だが、調べられることには限界がある。本は大海のように豊かで深い。私は図書館で武内勇吉さんと奇跡的な出会いをした。

読書の秋。本を通じて、大坂の陣を深め、楽しむ絶好の機会である

中央図書館2階のコーナー「大阪冬の陣と大坂城展」は1217日まで。

 

流田さんが選んだ130冊のリストが公開されている。最寄りの図書館で借りるか、もしくは書店やネット書店で購入するかなどして、何か1冊チャレンジしてはどうだろう。

「大阪冬の陣と大坂城展」リスト こちらをクリック

 

大阪市立中央図書館
大阪市立中央図書館

圧倒的蔵書数を誇る大阪の知恵袋

だれでも利用OKのデジタルアーカイブ

大阪市立図書館は、中央図書館と地域図書館23館とがネットワークを構築し、効率的な貸し出しを行っている。蔵書数は全24370万冊、全国有数だ。

中央図書館は平成8年に建て替えられ、ゆったりしたスペースと、圧倒的な蔵書数、加えて地下鉄西長堀駅と直結する便利なアクセスで、人気を集めている。

さて、利用サービス担当の楢崎(ならさき)佳代さんが耳寄りな情報を教えてくれた。大阪市立図書館のホームページの中に、だれでも自由に利用できるコンテンツがあるというのだ。

「大阪市立図書館ホームページにアクセスいただくと、トップページの左下あたりに『デジタルアーカイブ』の項目があります。大阪市立図書館が所蔵する古文書・絵葉書・写真・地図などの貴重な歴史資料を自由に見ていただけるようになっています。デジタルアーカイブのWEBギャラリー《物語で見る大坂の陣》を開くと、大坂の陣が描かれた「大坂物語」や軍記物「難波戦記」、歌舞伎の一場面を描いた「大阪芝居絵」などが見られますので、ぜひ!」

具体的な手順は以下のとおり。

大阪市立図書館デジタルアーカイブにアクセス

WEBギャラリー

→▼WEBギャラリー一覧を見る

→2物語で見る大坂の陣

→画像をクリック

→画像が拡大し、その下に全ページ表示が出る

 

大阪市立中央図書館

大阪市西区北堀江4-3-2

(地下鉄千日前線・長堀鶴見緑地線西長堀駅7号出口すぐ)

Tel 06-6539-3300

平日9152030/土曜・日曜・祝日9151700

休館日は大阪市立図書館ホームページで確認を。

 

大阪府立中央図書館のリスト

真田幸村と猿飛佐助195

 82日大阪府立中央図書館で「真田幸村と大坂の陣 江戸文学と上方講談」のタイトルで講演・講談・対談が行われた。配布された資料の中に、「真田幸村と猿飛佐助」の本195冊を選んだリストがあった。こちらも参考に。


大阪府立図書館 真田幸村リスト.pdf
PDFファイル 907.8 KB
大阪府立中央図書館 猿飛佐助リスト.pdf
PDFファイル 673.7 KB

玉造の最寄駅

JR環状線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造元町1-40

地下鉄長堀鶴見緑地線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造本町1-2

「真田丸」はここだ! 玉造地図

大阪歴史博物館が推定した真田丸跡をめぐりながらお店めぐりも。

愛用のカメラとICレコーダーです
愛用のカメラとICレコーダーです

玉造イチバンの管理人です。私は玉造で生まれ育ち、今も玉造に住んでいます。たくさんの方に玉造を知ってもらいたく、2013年2月にこのサイトを立ち上げました。玉造を盛り上げる情報を発信していきたいと思っています。