常設展「大坂の陣への道」、大阪城天守閣で開催中

日本庭園から見る大阪城天守閣。今の天守閣は3代目
日本庭園から見る大阪城天守閣。今の天守閣は3代目
4階で開催中の「大坂の陣への道」(写真提供・大阪城天守閣)
4階で開催中の「大坂の陣への道」(写真提供・大阪城天守閣)

 

「大坂の陣400年」に先駆けて

豊臣vs徳川の最後の合戦、勃発までの経緯をたどる

4階展示室にて来年1月23日まで開催

時間を巻きなおすと、織田信長が天下統一めざしていた時代、大阪城が今、建っている場所に大坂本願寺(石山本願寺)があって「大坂城」とも呼ばれていた。信長と戦い「石山合戦」で寺と寺内町は炎上した。

大坂本願寺跡に豊臣秀吉が築城した大坂城は「大坂夏の陣」で落城。

その後、徳川幕府によって再建された大阪城は明治維新の動乱(戊辰戦争)で多くの建造物を失う。  

昭和6年、天守閣が復興されるが、第二次世界大戦の空襲で猛煙に包まれた。

不運に次ぐ不運…、まさに大阪城は薄幸の歴史を背負う。

跡部さんに言わせれば「負け続けたことが大阪城の“遺産”です。なかでも『大坂の陣』は全国の大名が参戦した、日本史上の大事件。20142015年は当時から400年経つメモリアルイヤーに当たります」

 

秀頼誕生から「大坂の陣まで 

歴史の道のりをたどる

今回、跡部さんが手がけた4階常設展「大坂の陣への道」は、「大坂の陣400年イベント」の第1弾ともいえるもの。

史上に残る「大坂の陣」はなぜ起きたのか…。そのタイトルどおり、秀吉の息子、秀頼誕生から、豊臣と徳川対立の過程、ついに「大坂の陣」勃発へと至る道のりを、歴史資料を基にたどれる内容となっている。

構成としては①秀頼誕生と秀吉の死 ②関ヶ原合戦 ③秀頼の地位 ④「大坂冬の陣」開戦、これら4つを柱に展開している。

跡部信さん
跡部信さん

秀吉の死を境に 

転げ落ちる豊臣の威信

 

「この世はバラ色。わしゃ、天下一幸せ者」

 秀吉、57歳にして実子秀頼を授かり、幸せの絶頂にあった。文禄2年、秀吉が息子宛てに書いた手紙が展示されているが、溺愛ぶりはハンパではない。「おひろい(秀頼の幼名)の口を吸う(キスする)ことができず残念。おかか(淀殿)に口を吸われないよう油断なされますな とと(父)」と、1歳やそこらの乳飲み子相手にデレデレ。秀吉パパって、どうしようもない親バカだったんだ! 人間秀吉にぐっと親しみが湧いてくる。

 

  しかし、喜びは続かない。秀頼5歳のときに秀吉は人生の幕をおろす。

 死後間もない時期に狩野山楽が描いた秀吉の肖像画が出展されているが、「こういう機会でないと見ていただけない重要美術品です」と跡部さん。

 唐冠をかぶった秀吉は椅子に座り、脇に長い太刀を立てている。跡部さんによれば、数ある秀吉の肖像画の中でも、かなり異色の構図だそう。

 さらに、画像の上部には「豊国大明神」と秀吉の神号が書かれているが、これは幼い秀頼が父をしのんで書いたもの。左脇には秀吉自筆の和歌も貼ってある。作った歌が気にいらなかったため、線で消して、その横に新しい句を書きつけている。知恵をしぼって和歌をひねだす秀吉の姿が目に浮かぶよう。「露と落ち」の文句も詠みこまれ、有名な辞世和歌の草稿として注目を集める。

 

 

関ヶ原の合戦が分かれ目に 

裏切り者に家康が感謝状


秀吉の死後、豊臣と徳川の対立が深まり、ついに関ヶ原の合戦が起きる。小早川秀秋の寝返りによって豊臣勢(西軍)は敗れ、徳川勢(東軍)が勝利した。

家康が小早川秀秋に送った感謝状を見ることができる。「ひとえにおまえさんのおかげ。これからは息子同様に大切にする」ですって!

 

 関ヶ原以降、一般的には(徳川)家康が実権を握り、豊臣の権力は地に落ちたと思われているが、果たしてそうであろうか…。そんな疑問をこの展示会で跡部さんは投げかけている。

たとえば伊達政宗は家康にすり寄りつつ、水面下では秀頼に初鮭を進上している。秀頼にこうした付け届けや贈り物を武将らがしていたことは書状によって確認できる。

跡部さんは「“本命は徳川、されど豊臣にも目配せする空気が当時あったと読み取れます」と言う。

 

 

豊臣は目の上のたんこぶ 

言いがかりをつけ合戦に持ち込む

 

「豊臣の権威はまだ残っておるわ。早くなんとか仕留めにゃならん」。豊臣をつぶす口実を探していた家康に好機到来。京都・方広寺鐘銘事件が起きる。その拓本およびゆかりの書状が並べられている。これが「大坂冬の陣」開戦のきっかけとなった。

4階展示から「大坂冬の陣図屏風」(肉筆模写)
4階展示から「大坂冬の陣図屏風」(肉筆模写)

展示のラストを飾るのは「大坂冬の陣図屏風」。冬の陣ハイライト、真田丸での決戦も描かれている。このあといよいよ本編「大坂の陣」です。続きはどうぞお楽しみに! そう言われたかのごとく、「大坂の陣」へのわくわく感が湧き起こった。

 

本展には秀頼自筆の和歌や淀殿の燭台、織田有楽斎の甲冑なども並べられ、見どころが揃う。歴史の流れが頭に入り、「大坂の陣」への理解がぐっと深まることは間違いない。会期中にぜひ観覧を。

 

 3階では、12月公開の映画「利休にたずねよ」とコラボした展示会を開催している。

 

(2013年1127日取材)

Copyright(C)2013 copyrights.tama-tsukuri.info/ All Rights Reserved.

 

4階常設展「大坂の陣への道」

【会期】123日(木)まで

参考記事

 

大阪城天守閣

【開館時間】9時~17時(入館は16時半まで)、1228日~11日は休館(201411日は臨時開館)

【入館料】大人600円、中学生以下は無料(要証明)

【場所】 大阪市中央区大阪城1-1(天守閣へは地下鉄なら森ノ宮駅、大阪ビジネスパーク駅、天満橋駅、谷町四丁目駅、JRなら大阪城公園駅、森ノ宮駅、大阪城北詰駅が最寄。徒歩15分~20分)

【問合わせ】Tel 06-6941-3044

 

大阪城、この冬はスーパーイルミネーション

「天下一の芸術祭」  続きを読む

 

玉造の最寄駅

JR環状線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造元町1-40

地下鉄長堀鶴見緑地線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造本町1-2

「真田丸」はここだ! 玉造地図

大阪歴史博物館が推定した真田丸跡をめぐりながらお店めぐりも。

愛用のカメラとICレコーダーです
愛用のカメラとICレコーダーです

玉造イチバンの管理人です。私は玉造で生まれ育ち、今も玉造に住んでいます。たくさんの方に玉造を知ってもらいたく、2013年2月にこのサイトを立ち上げました。玉造を盛り上げる情報を発信していきたいと思っています。