百年長屋「狂言教室」親子での参加募集中


百年長屋を古典芸能の拠点に

4月から狂言教室スタート

JR玉造駅から北東へ徒歩8分。東成区中道にある「百年長屋」は“大阪大空襲”の戦火を奇跡的に免れた古民家で、『玉造遺産』ともいえる存在だ。オーナーの中西 緑さんが昔ながらの建築技法で長屋を甦らせ、2013年から古典芸能を中心にイベントを行っている。源氏物語の朗読会や落語会、女性ひとりで人形を遣う乙女文楽、またこの3月には東大出身の人気浪曲家「春野恵子の浪曲Rock You!」を開催する。

新しい試みとして、4月から11回講座で「狂言教室」を開くことになっている。小学校高学年から高校生までの子どもを対象に、その親、または同伴する大人と共に、狂言の基本から実際の演目まで、ひととおり体験できるプログラムだ。

「狂言」650年前、室町時代に誕生した日本の伝統芸能だ。そう聞くと、重苦しいイメージが浮かぶが、実は喜劇仕立ての和製ミュージカル。舞台にはなんの道具もないのに、役者のセリフと所作だけで、ありありと光景が浮かび上がり、そのやりとりがなんともおかしい。

 とはいえ、見たことがなければ想像もつかないに違いない。そこで、38日、日曜日午後から百年長屋で「鑑賞会と体感ワークショップ」が行われた。

「おもしろい!」「すごい迫力!」

笑いと熱気渦巻く

 8日15時半より開催されたプレイベントの様子をご紹介しよう。

会場は百年長屋の2階にある15畳ほどの檜板張りの空間。舞台スペースを空けて、後ろ側に観客20数名。6歳の女児から70数歳まで老若男女が集まった。

本日の出演者は安東 元(げん)さん春からの「狂言教室」を指導する大和座狂言事務所のプロの狂言師。その相方として大和座の生徒さんが加わり、2つの演目が披露された。さらに、観客が舞台に参加し、実際に狂言を体験できるワークショップも行われた。

まず1つ目の演目は「以呂波(いろは)」。父親が「いろは歌」を子どもに教えようとするが、見当違いな返答ばかり。それでは、自分の言うとおりに口真似しなさいと言うと…。

安東さんが父親を演じ、昨年8月からお稽古に通う18歳の真莉乃さんがその子ども役で出演。「半年のお稽古で、どれだけできるか。その目安にしていただけると思います」のメッセージに会場がざわめいた。

真莉乃さんが裃姿で出てくると、若くてかわいい姿に驚きの声が。

安東さんの第一声

「これは このあたりに住まい いたす者でござる」。

 その声に観客一同、背筋がのびた。まるで地の底からしぼり出したような太くて、深みがあって、迫力満点。独特な抑揚が時間を昔へ巻き戻した。


父「高野の弘法大師が創られた“いろは”という四十八文字がある」

子「高野の弘法大師が四十八になられましたか」といった食い違いが続く。

 「このうえは、それがしの言うようするように」と子どもに命じ、いろはの稽古が始まる。

父「いろはにほへと」 子「いろはにほへと」

父「ちりぬるをわか」 子「ちりぬるをわか」

父「ゑひもせす きょうと読め」 子「ゑひもせす きょうと読め」

父「もうよい、いて休め」 子「もうよい、いて休め」

父「いて休めとはそなたのことじゃ」

子「いて休めとはそなたのことじゃ」 

父親の怒りがどんどん大きくなっていき、ついには親子ゲンカに。

「やるまいぞやるまいぞ」と子どもを追いかけながら去って行く。


いかめしい父親と、天真爛漫な子どもとのやりとりがおかしく、あちらこちらで、くすくす笑いが。

安東さんの圧倒的な存在感と、真莉乃さんのういういしい姿…。観客の心を一気につかんだ。

 

そのあとは大和座の主宰者、安東伸元さんの指導で歌唱練習。狂言歌謡「雪山」を伸元さんの後について全員でうたった。大きな声を出しているうちに、身体が目覚めていくような…。

 

観客が舞台に立ち、狂言を体験

見て楽しく、演じてエキサイティング

次はいよいよ演習。「柿山伏(かきやまぶし)」は、大峰山で修行した帰りの山伏が、のどが渇いたことから柿泥棒する話。現場を見つけた、柿の木の持ち主が、「木の陰に隠れているのはきっとカラスじゃ」「猿じゃ」「鳶じゃ」と山伏をからかい、お仕置きする。擬声擬態を演じる山伏、ここが劇のハイライトだ。

安東さんが山伏を、大和座で学ぶ比嘉(ひが)さんが畑主を務める。途中から、小学校3年生の女児なつきちゃんと、前列に座っていた男性が前に出て、セリフを口移しで教わりながら山伏と畑主に挑戦。なつきちゃんは大勢の大人を前に、物おじせず、堂々とセリフを言い、声も大きい。木の上で柿を食べる仕草がおもしろかったようで、にこにこ笑いながら楽しそうに演じた。

後半はバトンタッチで、今度はなつきちゃんママが山伏を、前列の女性が畑主を演じ、話は佳境に。引き込まれるうちに、前のめりで見ていた。



 最後の出し物は安東さん比嘉さんコンビで「盆山(ぼんさん)」。先の演目「柿山伏」と似通った展開。知り合いの家に盆山(盆栽)を盗みに入り、隠れたつもりの盗っ人。 主人から「あれは犬じゃ」「いや猿じゃ」と言われるたびに物まねをし、散々いたぶられた挙句の果てに「あれは鯛じゃ。鳴かねば打ち殺す」と脅され、「タイタイ、タイタイ」と。狂言独特のリズムとセリフ、それに衣装や動作が加わり、おもしろくて笑った笑った。最後は大きな拍手がいつまでも続いた。

今回、目と鼻の先で、つぶさに見られたのはラッキーだった。休憩時間には、下着姿から仕上がりまで着付けの実演もあり、貴重な舞台裏まで見せてもらえた。


帰り支度の人たちは頬をバラ色に染めて、どの人もにこやかで満足した様子。一般庶民の日常生活を題材にした“笑いの寸劇”狂言が650年続いてきたのは、まさしく、時代を超えて愛されてきたからにほかならないと、しみじみ感じた2時間であった。

 

古典芸能入門の第一歩に

稽古で「自信がつく」「美しい日本語を体感できる」

 終演後、子どもさんに感想を聞く一方、お稽古に通う生徒さんや先生方からコメントをいただいた。


最年少、6歳のかさねちゃん

お話わかった?「わかんないとこもあったけど、おもしろかった」

 

演習に参加したお姉ちゃんのなつきちゃん

「迫力があった。早く習いたい。お稽古が待ち遠しい」

かさねちゃんなつきちゃん姉妹はパパママと一緒に家族4人で狂言教室に参加することが決まっている。

 

「伊呂波」で子どもを演じた真莉乃さん

「クラッシクバレエを6歳から習っていますが、バレエとはまったく違う魅力が狂言にはあります。役になりきって、演じるのがとにかく楽しくて(笑)」

 

「柿山伏」「盆山」に出演した比嘉さん

「お稽古を始めたのは定年後。語尾をしっかり言う練習を積んだおかげで、話が聞きやすい、話し方に説得力があると褒められるようになりました。狂言は奥が深くて、10年習っていますが、学びたいことが山ほどあります」

 

「狂言教室」の講師、安東 元さん

11回参加すれば、人前で堂々と話せる自信がつきます。日本語の美しい響きやリズムを体感いただけますし、立ち居ふるまいの所作も習えます」

 

大和座主宰の安東伸元さん

「古典は人格・品格・思想を鍛えます。人間の芯を作るといってもいいでしょう。だから、プロが演じる古典を幼い時分から見せることです。後々それが実ります」


だれでも楽しめる狂言は古典芸能デビュー「はじめの一歩」にぴったり。こどもたちに新しい体験をさせたい方、古典への関心を深めたい方、大きな声を出して発散したい方、4月からの「狂言教室」おすすめ。参加者を募集中です。親子でぜひ!

百年長屋「狂言教室」

主催:百年長屋狂言教室実行委員会

協力:大和座狂言事務所

【講師】大蔵流狂言 安東 元(大和座狂言事務所)

祖父が能楽師、父が狂言師で、謡(うたい)を子守唄代わりに聞いて育った。9歳のときに初舞台を踏み、豪快な演技が持ち味。誠実で穏やかな人柄もあって、講師を務める教室は常に和やかです。今回の親子教室では、狂言の楽しさを知ってもらい、演目をひとつマスターできるように指導していくと語ります。


【日程と時間】

1回、日曜日の100012008月のみ2回実施)

計11回講座

基礎練習(発声・謡や歩き方など所作の基本稽古)

4/195/176/217/12

全体練習(所作や動きを交えた立ち稽古)

8/28/239/610/411/812/20

発表会 1/24(日)

【会場】百年長屋(東成区中道3-2-28

【対象】小学校高学年~高校生とその保護者

※大人のみの参加は要相談

【参加費】無料(教材費など別途)

【定員】10組(申込み多数の場合、抽選)

【申込み・問い合わせ】往復ハガキまたはメールに①名前(ふりがな)②住所(〒)③電話④年齢⑤学校名を記入のうえ、331日までに申し込みを

ハガキの宛先 〒537-0025 大阪市東成区中道」3-2-28 百年長屋狂言教室係

メールのアドレス gen325.ga@gmail.com

問い合わせは携帯090-3990-1122(安東)へ。


2015日取材

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「真田丸」はここだ! 玉造地図

大阪歴史博物館が推定した真田丸跡をめぐりながらお店めぐりも。

愛用のカメラとICレコーダーです
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玉造イチバンの管理人です。私は玉造で生まれ育ち、今も玉造に住んでいます。たくさんの方に玉造を知ってもらいたく、2013年2月にこのサイトを立ち上げました。玉造を盛り上げる情報を発信していきたいと思っています。