古典の和芸が似合う“昔美人の家”

玉造の路地裏に「百年長屋」

落語会と古典朗読会の会場に

玉造の路地裏にひっそり建つ百年長屋。オーナーの中西緑さんが、おばあさまの暮らしていた長屋を見事に生き返らせた「昔美人の家」だ。ここに来た人たちは「なんだかほっとして、帰りたくない気持ちにさせられる」と口を揃えて言う。この春から百年長屋で、落語会や朗読会、講習会、ギャラリーが開かれている。

 

玉造にある「百年長屋」は1945年の大阪大空襲のとき、前の家が燃えたにもかかわらず、まったく無傷であった“強運の家”。100年という長い時を生き続け、一昨年、オーナーの中西緑さんが美しくよみがえらせた。

 

 


落語会は大入り満員

百年長屋で行われた落語会は満員
百年長屋で行われた落語会は満員

寄席にぴったりの雰囲気

和泉家遊福さんの第1回落語勉強会
和泉家遊福さんの第1回落語勉強会

 627日、アマチュア落語家の和泉家遊福さん(いずみや ゆうふく)が百年長屋で落語勉強会を立ち上げた。

 この日、1階の土間はぎっしり埋まり、椅子席を追加で用意するなど、30名を超える大入り満員となった。

 遊福さんにとって初めての勉強会。

 1席目、得意の持ちネタ「青菜」で、きちんと笑いをとり、好スタートを切った。

 

  2席目は、繁盛亭などで活躍中の笑福亭仁福さんが登場。15年来、落語を教えている遊福さんのためにと応援に駆けつけ、大坂・新町の遊郭を舞台にした演目「お見立て」を演じた。

 

 大嫌いなお客を追い帰すために太夫(たゆう)が、番頭の喜助(きすけ)にウソを重ねさせ、どんどんウソがエスカレートしていく、とんでもなく面白いお話。

 

笑福亭仁福師匠
笑福亭仁福師匠

 話のテンポに乗って、

客席と高座が一体となり、

爆笑につぐ爆笑!

 

 大正時代のランプの明かりと、

三和(たたき)の土間の感触が、

話とマッチしていて、

まるで江戸時代の廓(くるわ)に

タイムスリップしたような気分になった。

 

 そして最後は遊福さんが、高津宮を舞台にした「崇徳院(すとくいん)」を。途中起きたハプニングも乗り越えて、温かな拍手の中で第1回の勉強会が終わりました。

 

 

「ほんま、ええ感じで、

 やりやすかったわ」

(仁福師匠)

 

「今日は楽しかったです。

 勉強会、続けます!」

(遊福さん)

終演後のおふたり。師匠はラフでお茶目な方
終演後のおふたり。師匠はラフでお茶目な方

 終演後、仁福師匠は

「ものすごくやりやすかった。マイクがいらないし、お客さんの表情もよくわかるし、箱の大きさがちょうどいい。初めてここでさせてもろうたけど、造りも雰囲気も、ほんま、ええ感じで、寄席にぴったりの場所やね」

 

 一方、遊福さんは

「友だちに誘われ、この春、初めてここに来たときに、落語会するのにええんちがうかと、ピンときたんです。これを機に、自分にプレッシャーかけるつもりで、2カ月に1回、この長屋で勉強会を開こうと思っています」と決意を固めた様子。

 

 

2階は土壁のままにしてあり、百年の雰囲気満点
2階は土壁のままにしてあり、百年の雰囲気満点

8月には源氏物語朗読会

古典の世界を深める空間

 

 1ヵ月後の7月26日夕方、

今度は百年長屋で「源氏物語の朗読会」が。

2階の和室を会場に20名の参加があった。

 

 

 高校で国語を34年教えた山崎方典先生が源氏物語「若紫」から、〝北山の少女〟と〝藤壺との短夜〟を原文朗読。

 

 講師席にだけ灯りを残し、室内の照明を落とし、真っ暗に。

 暗闇から源氏の思いがメロディのように流れてきます。

 テキストを見ずに朗読だけに耳を澄ませていたため、意味はところどころしかわかりませんでしたが、言葉の美しさが心にしみこんでいくよう。

 

 約1時間の朗読は大きな拍手に包まれ終了。

「まるで能楽の謡(うたい)を聞くようだった」

「灯りが消えたことで聴覚が敏感になって、美しい日本語を堪能できた」

天井の梁や土壁の質感この異空間が源氏の世界を深めてくれた

「百年生きたこの空間が源氏物語に寄り添い、朗読を味付けした」

 といった声が聞かれました。

 

終わった後は、ちゃぶ台談義も
終わった後は、ちゃぶ台談義も

 講師の山崎先生によれば

「源氏物語は後ろにいけばいくほど、日本語がゆらゆら揺れて心地いい」とか。

 読み進めていけば、物語と建物がさらに共鳴しそうな予感がします。

 

 

 

 

 

 


オーナーの中西緑さん
オーナーの中西緑さん

「地元の皆さんに愛される場所に」

(中西さん)

 

 オーナーの中西緑さんは、この長屋で暮らしていた中西フクノさんのお孫さん。

「夫を早くに亡くした祖母はここで着物の仕立てをしながら、ひとり息子の、私の父を女手ひとつで育てあげました。つましい暮らしの中で、三味線を弾き、浄瑠璃を語るなど芸事を楽しんでいたようです。玉造で100歳を迎えたこの長屋を、発表会やお稽古などに活用していただけたら、うれしいですね」と話します。

 百年長屋に一度足を運んでみませんか。

 玉造にこんなところがあったと、きっと驚くはず。

 講習会や発表会を開きたい方は中西さんまで。

 

 

今後のイベントの予定ですが、

830日(金)和泉家遊福 第2回落語勉強会

928日(土)第二回古典に楽しむ夕べ「源氏物語の朗読と解説」

913日(金)レザークラフトの定期講座「いっしょに創る革小物」がスタート。

毎月第2金曜10時~12時。オンリーワンの作品を作る企画。初心者の方、歓迎。

9月土曜日夕方から、松尾芭蕉「奥の細道の朗読会」

 

これ以降については「百年長屋」(080-2535-6937)へ問合わせを。

 

百年長屋

http://nagaya100.sblo.jp/

大阪市東成区中道3228

TEL08025356937

 

長屋の1階はギャラリー(オープンは不定期)

2階カフェは金曜土曜の13時~19時営業。

カフェでは喫茶のほか、予約制の「酵素玄米定食」など、食事もできます。
(現在カフェはしていません)


 

JR玉造駅の東側、ブックオフのビルを曲がって森ノ宮の方向に歩いて行く。大阪鍍金(メッキ)会館前の細い路地を右へ入る。


 

2013年6月27日・7月26日取材

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玉造の最寄駅

JR環状線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造元町1-40

地下鉄長堀鶴見緑地線「玉造駅」

大阪市天王寺区玉造本町1-2

「真田丸」はここだ! 玉造地図

大阪歴史博物館が推定した真田丸跡をめぐりながらお店めぐりも。

愛用のカメラとICレコーダーです
愛用のカメラとICレコーダーです

玉造イチバンの管理人です。私は玉造で生まれ育ち、今も玉造に住んでいます。たくさんの方に玉造を知ってもらいたく、2013年2月にこのサイトを立ち上げました。玉造を盛り上げる情報を発信していきたいと思っています。